奄美市が進めているプロジェクトに「フリーランスが最も働きやすい島化計画」というものがあります。

その一環として毎年開講されているフリーランス養成講座、その名も「フリーランス寺子屋」。

プロのフリーランスとして必要なスキルをプロから直接学べるだけでなく、お仕事のオファーまでしてもらえる、嬉しいことだらけのこの講座。

わたしは現在フリーライターとしてもお仕事をしていますが、ライターデビューから安定した収入を得られるようになるまでになったのは、ここで出会った知識や人とのご縁のおかげです。

最近「奄美大島って住んでみるとどんな島?」という質問をいただくことが増えたこともあり、今回は奄美の魅力の1つだなと感じているフリーランス寺子屋について紹介します。

フリーランス寺子屋とは?

奄美大島では2015年から「フリーランスが最も働きやすい島化計画」と銘打ち、フリーランスを積極的に呼び込もうとしています。

計画の一環として「フリーランス寺子屋」が開講されており、奄美市から委託を受けた株式会社しーまが運営しています。

寺子屋ではフリーランスの育成を目的として、下記のような講座を開講しています。

  • SEOライティング講座
  • 観光フォトライター講座
  • ハンドメイド作品のオンライン販売についての講座

また受講生を対象に、自由にフリーランスならではの悩み相談などができる交流会も定期開催されています。

情報交換や人脈を広げられるようなフリーランス同士のゆるいコミュニティは、都市部ではたくさんありますが離島ではなかなかないもの。

奄美ではこのフリーランス寺子屋によるコミュニティがフリーランス同士の交流の始まりだったようです。

フリーランス寺子屋は、「フリーランスになるには?」から「フリーランスになってからの不安解消」までサポートを受けられる仕組みと言えます。

 

フリーランス寺子屋で仕事を受注できる仕組み

フリーランス寺子屋修了後には、卒業生に対してしーまさんが仕事を実際に発注(斡旋)。

卒業生はライティングを仕事としてスタートさせることができます。

しーまさんでは、自社媒体での執筆案件はもちろん、外部から発注を受けた案件も多く、奄美大島や奄美群島の観光情報執筆の仕事が多いようです。

■自社媒体

 

■外部案件

  • SEOライティング
  • あまみっけ。 | 奄美大島の観光情報メディア
  • 行政が発行する媒体での執筆
  • 中高生向け進路ガイダンス冊子の記事執筆
  • 「たびらい」など観光系WEBサイトの記事執筆

 

フリーランス寺子屋の講師はどんな人?

メインの講師は毎回異なるプロの方が各地から来てくださり、それぞれの得意分野に関して講座を開いてくれます。

株式会社しーまの編集長や、フリーランスとして活動する寺子屋卒業生も登壇。

ここではプロ講師陣を少しご紹介します。

 

フリーライター 桂 浩一さん

福岡県在住のフリーランス。約20年間東京で働いてからUターンした方です。

現在はライター、カメラマン、「Lancers新しい働き方講師」として全国各地で活動されています。

わたしが参加した年には、フリーランス寺子屋の第1・2回講座となる「ライティング基礎講座」などを担当してくださいました。

・Webライティングとは?
・読んでもらえる文章の書き方
・Webライティングの基本ルール
・SEOって何?→SEOライティングの実践!

などなど、年間講座の基礎となる部分のレクチャーがありました。

 

フリーカメラマン わたなべりょうさん

こども・かぞくカメラマン/ストックフォトフォトグラファーとして活動されている女性カメラマン、わたなべりょうさん。

・写真の撮影の仕方
・実際の取材現場での撮影方法レクチャー
・撮影後の写真補正の仕方

といった、Web記事を書くことを前提とした撮影について教えていただきました。

 

フリーライター 泥ぬマコさん

フリーライターとして活動されている泥ぬマコさんは、縁あって奄美へ移住した経歴があります。

現在はさらに大分県別府市に移住し、フリーライターや編集者としてさまざまな媒体で活躍中です。

寺子屋ではご自身の営業経験をもとに、ライターとしての営業・PR方法と、採用される基本プロフィールの作成法など、実践で役立つ情報たっぷりの講座をしてくださいました。

 

奄美のコワーキングスペース状況

(※イメージ画像です。)

 

これだけ力を入れているなら、奄美大島ではフリーランスの作業場も充実…

しているわけではありません。残念ながら。

ネットワーク環境がいい作業場は奄美大島では下記の2か所かなと思います。

空港近くにあるコワーキングスペースと、中心市街地の名瀬に大正大学のアンテナショップ兼レンタルスペース「なぜまちモーレ」です。

 

コワーキングスペースかさり

奄美空港から車で3分、歩いても18分の立地。

最大5席と小さなスペースですが、ミーティングスペースもあります。

光回線と27インチディスプレイ完備。自分のPCと繋いで使えます。

なんと、1時間50円、1日400円という驚きの安さで利用できます。

東京や大阪ではまず考えられない価格!

これが離島パワー…!素晴らしいです。

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開館時間:9:00~17:00
定休日 :土日祝日
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なぜまちモーレ

名瀬で作業をするなら、一番使いやすいのはここ。

1時間200円、1日1,500円、1か月5,000円で利用できます。

レンタルスペースでありながら、大正大学地域構想研究所のアンテナショップでもあり、店内では奄美大島や東北、京都、宮崎などの物産が販売されています。

日によっては「こども学」などイベントが開催され、レンタルスペースとして利用できないこともあります。

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開館時間:10:00~19:00
定休日 :水曜日
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Wifiが使えるカフェ

奄美大島のほとんどのカフェではWifiが利用できないなど、島のフリーランサーの課題はネット環境。

そんな時はこれで解決してください!

こちらの記事ではWifiが使える施設やカフェをまとめています。

やはり名瀬のお店が多いですが、龍郷など他の地域のお店も記載しています。

奄美大島名瀬のwifiスポット・カフェ15か所まとめ!仕事の作業場に

他の離島の状況

離島と呼ばれる地域では大抵どこでも少子高齢化が急速に進み、若い世代のUターン・Iターン誘致が課題となっています。

 

Web上で仕事を完結させることができるフリーランスの呼び込み・育成は、正直今や多くの地方自治体で取られている手法と言えます。

若いIターン者を呼び込む際に課題となる仕事の種類の少なさや賃金の低さも同時に解決できる施策だと考えられているからです。

 

最近だと宮古島石垣島でもシェアスペースやコワーキングスペースができたりと動きは活発。

大分県の姫島では「ITアイランド構想」を立て、使われなくなった校舎の一部をコワーキングスペースにて企業誘致を進めています。

その中でも奄美市はこれらの対策に手を打つのが早かった自治体の1つで、実際に個人や企業で二拠点やリモートワークの拠点の1つを奄美に置いているケースも多く見聞きします。

 

書いていて、先日甑島の東シナ海の小さな島ブランド株式会社代表の山下賢太さんに伺ったお話とも関連するな~と思ったのですが、人は「なんか面白そう」というところに自然と集まります。

重要なのは「なんか面白そう」の後に「私もやりたい、できそう」という感覚を持ってもらうこと。

そうしないと移住まで至りません。

 

フリーランス寺子屋は受講料も無料で仕事ももらえるということで、これから新しいライフスタイルを模索していきたい人にはドンピシャの事業。

奄美の場合は空き家が少なく、来ても住むところがない問題がありますが、そこは一旦集落の人と馴染んでしまえば解決します。

 

奄美市の「働きやすい島化計画」は2020年を目標にしており、期日は目前。

来年フリーランス寺子屋が今の形で継続されるのかは分かりませんが、文化として育つまで10年、20年計画で続けていくべき事業だと思います。